年次点検時の注意点その1

今日は年次点検を行う上での私が日頃から気をつけている
注意点などを思いついたまま少し書いてみます。

昨今多い高齢者介護施設の物件

いつか自分もこのような施設にお世話になるのかなぁ、、、
と思いながら点検しています。

介護施設では特に予定している終了時間の30分前には
終了を心がけています。

お知らせしている年次点検所要時間、例えば2時間予定
の場合、1時間30分程度で終了するようにしています。

高齢者の方の中には、体の不自由の方が多いです。

冷暖房の停止、水が出ない、電気がつかない等、これらは、
生理的に精神的にストレスになってきます。
早めの電気投入(復電)が望まれます。

また、我々点検作業者はおしゃべり禁物です。
仕事以外言葉を発してはいけません。

どの現場でも言えますが、特に老人ホームではおしゃべりはいけません。

私が手伝いで行った先で、私には職員の方が終了時、普通に
挨拶されましたがしゃべり声が大きかった他のメンバーには施設から苦情が出ました。

介護施設等ではできるだけ静かに穏やかに点検を行いましょう。

絶縁抵抗

高圧絶縁抵抗については基準は何であるか、良くおさらいをしておく事です。

基準は、
協会さん発行のハンドブックの30MΩ以上を良とする。
協会さん発行でもう一つの解釈、0.5GΩ(500MΩ)~
30MΩを要注意とする。

本当に詳しくするのであれば、絶縁性能で判断する。
こちらは、耐圧試験となり、もはや年次点検で行うには不可能となります。

G、E方式で判断する

E方式の場合
PAS(またはUGS)~高圧ケーブル測定では、
30MΩ以上を良とする。

また、シース絶縁抵抗値(E方式)が少しずつ下がってくる場合、
悪くなってきている兆候です。

G方式の場合
通常5GΩ(5000MΩ)以上は出るはずです。
(条件はシース抵抗値、E方式で1MΩ以上ある事)

結果:0.5GΩ(500MΩ)〜30MΩは要注意。
30MΩ以下は否。

否の場合、高圧ケーブルか、PAS(またはUGS)
が悪い事になります。

DARで判断

こちらはK計測メーカーでしか測定出来ません。
お仲間内にDAR機能がある測定器をお借りしましょう。
(1以上を良)
いつも測定していると、1~2位の1.3位の値を示してます。

弱点比で判断

こちらは前にも耐圧試験編で書きましたが、1万ボルト
をかける事になりますので、既存の高圧ケーブルには宜しく
ありません。
既存高圧ケーブルの寿命を縮めるとの事です。

シース電流

クランプメーターで測定します。
多い場合5mA以上で乱高下します。
この場合は交換です。

 

 

ほか判断する測定方式はあるかと思いますが
以上の事から設置者には、

一般的に製造から18年~25年を経過した高圧ケーブルは、
交換するように要請します。

また波及事故の怖さをお知らせする事も大切です。
東京電力が変電所を停止して、付近一帯を停電させ、
損害賠償のリスクを負う事のリスクも説明した方がよいで
しょう。

なお東京電力からは製造から15年経過した場合、
事故が多いので交換を要請されてます。

私がなぜこのような面倒なことを書くかと言いますと
湿度が高いと、高圧電気設備の絶縁抵抗は、気象条件に
左右され、明確な技術基準がありません。

雨で湿度が70~90%(東條判断は65%以上、
とあるT高圧機器メーカー75%以上)だと悪く出ます。

多くの場合雨の日に測定しても意味がないのです。
厄介な事に気象条件が良くても(Pカンで湿度30~60%台位でも)
前後の天気が雨上がりだったりすると、数値は悪く出ます。

晴れた時の年次点検で、湿度が60%位で満足のいく30MΩ以上が出ます。

結論を言いますと
30年以上経った高圧ケーブル、PAS、UGSは交換だという事です。

設置者には交換して下さいとしか言いようがありません。

PAS、UGS開閉器は交換推奨目安年10年。
SOG制御器は、交換推奨目安年15年と文献にはあります。
こちらも交換して下さいとしか言いようがありません。

キュービクル所内

E方式で測定し、先ほども書きましたが、
0.5GΩ以上を良
30MΩ以上も良とする。
0.5GΩ~30MΩを要注意とする。
30MΩ以下を否とする。

30MΩ以下だったら、
エポキシ樹脂碍子、クリート樹脂碍子の絶縁体を測定して下さい。
(特にエポキシ樹脂碍子のKIPケーブル接続してある碍子の絶縁体)

VCB開閉器、DS断路器、VT変成器、CT変流器の絶縁体
トランス単体、進相コンデンサ単体の高圧絶縁抵抗
KIPケーブルのR相単独、S相単独、T相単独を測定します。

 

年次点検の作業時間はおおよそ2時間以内です。
サクサクと測定します。
心を落ち着けて頑張りましょう!

基本雨の日は測定は中止です。

年数が経った樹脂絶縁体は、水分が樹脂表面に付きやすく、
結露している為、正確な値は出ません。

一括1000Vメガーで測定で悪い結果を書きます。

年次点検報告書には、上記結果は必ず絶縁不良の旨を記入します。

 

雑談ですが某電力会社基準は10MΩ以上だとか。
漏れ電流値1mA(シース電流)を基準にして、
高圧電圧6600V÷1mA=6.6MΩ→10MΩ
これを6MΩ、8MΩとも言う事があります。

次回は低圧絶縁測定編です。
では、
今年一年明るい年で、良い年でありますように祈念して
ごきげんよう!